Power BI や Power Query を活用する上で頻出する「クエリのマージ(Merge Queries)」について、基本的な使い方と活用のコツをご紹介します。
目次
クエリのマージとは?
クエリのマージは、複数のテーブル(クエリ)をキー項目で結合する操作のことです。Excelでいう「VLOOKUP」や「XLOOKUP」に相当しますが、Power QueryではGUIで簡単に結合処理ができます。
よくある活用場面は以下のとおりです。
- 売上データに商品マスタの情報を追加する
- 購買履歴と仕入先マスタを結合して社名を表示する
- 社員データに部門名を付与する
マージの手順(基本)
1.Power Queryエディタを開く

2.[ホーム] タブ →「クエリのマージ」をクリック

3.マージする2つのクエリを選択
4.両方のテーブルでキーとなる列を選択(複数選択も可能)
5.マージの種類(結合方法)を選択(※後述)

6.[OK] をクリックして、展開すれば完了!

結合方法(マージの種類)
| マージの種類 | 内容 | Excel関数との比較 | 
|---|---|---|
| 左外部(Left Outer) | 主テーブルのすべての行+一致する行 | VLOOKUPに近い | 
| 右外部(Right Outer) | 右側テーブルのすべての行+一致する行 | – | 
| 完全外部(Full Outer) | 両方のすべての行を含む | – | 
| 内部(Inner) | 両方のテーブルで一致する行のみ | – | 
| 左反(Left Anti) | 主テーブルにあって相手にない行 | – | 
| 右反(Right Anti) | 右側テーブルにあって主にない行 | – | 
もっとも一般的なのは「左外部結合」で、主テーブルに情報を追加する形になります。
実務での活用例:売上データと商品マスタのマージ
たとえば、以下のような売上データと商品マスタがあるとします。
売上データ(Sales)
| 商品ID | 数量 | 
|---|---|
| A001 | 3 | 
| A002 | 1 | 
| A003 | 5 | 
商品マスタ(Product)
| 商品ID | 商品名 | 単価 | 
|---|---|---|
| A001 | りんご | 100 | 
| A002 | みかん | 80 | 
| A003 | ぶどう | 120 | 
この2つを「商品ID」でマージすれば、「りんご」「みかん」「ぶどう」といった商品名や単価が売上データに加わります。
結合後の統合テーブル
| 商品ID | 数量 | 商品名 | 単価 | 
|---|---|---|---|
| A001 | 3 | りんご | 100 | 
| A002 | 1 | みかん | 80 | 
| A003 | 5 | ぶどう | 120 | 
さらに、売上金額(数量 × 単価)の列を追加すれば、以下のようなアウトプットも作成できます。
売上金額を含むテーブル(列の追加後)

| 商品ID | 数量 | 商品名 | 単価 | 売上金額 | 
|---|---|---|---|---|
| A001 | 3 | りんご | 100 | 300 | 
| A002 | 1 | みかん | 80 | 80 | 
| A003 | 5 | ぶどう | 120 | 600 | 
注意点とコツ
- 結合キーのデータ型を確認!
 数値 vs 文字列で型が違うと結合できません。事前に「データ型の変更」で揃えましょう。
- 列を展開するときは必要な列だけ選ぶ!
 全列展開すると無駄が多くなりやすいので注意。
- 列名が同じ場合はリネームを忘れずに!
 どちらの列か分からなくなるので、展開後の列名に注意。
おわりに
クエリのマージは、データ整形・前処理においてとても便利な機能です。
手作業でのVLOOKUPやコピペ作業を自動化したい方には、ぜひPower BIやPower Queryを活用してみてください。

 
			 		 