今回は、Power Automate を使って 「一段階の簡易承認ワークフロー」 を作成する方法をご紹介します。申請内容を SharePoint リストに登録し、承認者に通知 → 承認 or 却下を選ぶだけのシンプルな流れです。

「まずは小さく始めたい」という方にぴったりの構成です!

背景と目的

業務の中で「誰かの確認を得てから次に進める」場面は意外と多くあります。例えば、備品の購入申請や出張の許可、見積もりの承認など、さまざまなケースで承認作業が発生します。

こうした承認業務を、Excelファイルとメールだけでやり取りしているとどうなるでしょうか?

  • 「最新のExcelがどれかわからない」
  • 「申請したつもりだったけど、承認者が見ていなかった」
  • 「口頭でOKをもらったのに、記録が残っていない」

こうした 属人化確認漏れ、記録漏れ は、組織の信頼性や生産性に影響を与えてしまいます。

そこで役立つのが、承認ワークフローのシステム化 です。

特に、「一段階」の簡易な承認から始めることで、

  • 複雑なフロー設計をしなくてもよい
  • 担当者への説明や研修の手間が少ない
  • 実運用しながら改善点を見つけられる

というメリットがあります。

最初から完璧なワークフローを作る必要はありません。まずはシンプルな承認フローをPower Automateで構築していきましょう。

システム構成

今回ご紹介する「簡易承認ワークフロー」は、Microsoft 365 に含まれる標準ツールだけで構築できます。特別なライセンスや外部サービスは必要ありません。

使用する主なツールは次の2つです。

  • SharePoint Online(申請データの保存と管理)
  • Power Automate(承認フローの自動化)

全体の流れはとてもシンプル

  1. 申請者が SharePoint リストに入力
  2. Power Automateが自動で承認者に通知
  3. 承認者が「承認」または「却下」を選択(メール or Teams 通知から)
  4. 結果がリストに反映され、申請者に通知が届く

SharePoint リストの例:「承認フロー用5」

項目名説明
タイトル申請の内容(自由記述)
ステータス対応前/完了
結果申請結果(Approve等のテキスト)

このように、最低限の項目だけでも十分に運用をスタートできます。必要に応じて申請者やカテゴリーなどの項目を追加してカスタマイズすることも可能です。

ワークフローの流れ

この一段階の承認ワークフローは、「申請 → 通知 → 承認 or 却下 → 結果反映」という、非常にシンプルな流れで構成されています。以下に具体的なステップを紹介します。


① 申請者がSharePointリストに申請内容を登録

たとえば、「備品購入申請」や「外出申請」など、必要な情報をSharePointのリストに直接入力します。入力フォームは、標準のSharePoint画面や、Power Apps でカスタマイズした画面でもOKです。


② Power Automateが承認者に通知を送信

申請が登録されたことをトリガーに、自動で承認者に「承認依頼」の通知が届きます。

  • メール通知(Outlook)
  • Teams通知(チャットやアダプティブカード)
メール通知(Outlook)
Teams通知(チャットやアダプティブカード)

③ 承認者が「承認」または「却下」を選択

承認者は、届いた通知からワンクリックで対応可能です。
上記の画像をご覧ください。
たとえば、メール内のボタンから「承認」「却下」を選び、コメントを入力して送信するだけで完了します。


④ 結果がSharePointリストに反映される

承認・却下の結果は、Power Automateのフロー内でSharePointリストの「状態」列に自動反映されます。また、承認コメントや承認日時も併せて記録されます。


⑤ 申請者に結果通知が届く(任意)

承認結果は、申請者にメールやTeamsで通知することもできます。
「承認されたかどうか確認するために、毎回リストを開く必要がある…」というストレスを減らせます。


このように、一度フローを作成すれば、申請から承認までの手間を大幅に削減できます。しかも、記録が残るため後からの確認やエビデンスとしても活用できます。

実装ステップ

ここでは、実際にPower AutomateとSharePointリストを使って「一段階の簡易承認フロー」を作る手順を、できるだけシンプルにご紹介します。

フローの全体像です

ステップ①:SharePoint リストを作成

  1. SharePointのチームサイトを開く
  2. 「+ 新しいリスト」からカスタムリストを作成
  3. 次のような列を追加(タイトル列は既定であります)。
列名種類備考
申請者ユーザー列[作成者]列でも代用可
状態(ステータス)選択肢列未承認/承認済/却下
承認コメント複数行テキスト任意で記入できるようにする
承認日時日時列自動で書き込まれるようにする

※必要に応じて申請金額やカテゴリーも追加可能です。


ステップ②:Power Automate でフローを作成

  1. Power Automate にアクセスし、「自動化されたクラウド フロー」を作成
  2. トリガーを選択:「SharePoint – 項目が作成されたとき」
    • サイトアドレス:対象のSharePointサイト
    • リスト名:先ほど作成したリスト

ステップ③:承認アクションを追加

  1. 「承認の開始と待機」アクションを追加
    • タイトル:[申請内容のタイトル]
    • 承認者:固定メールアドレスまたは動的な値で設定(例:部門マネージャー)
    • 承認タイプ:「承認-1人の承認者が応答する」

ステップ④:承認結果をリストに反映

  1. 「SharePoint – 項目の更新」アクションを設定
    • ステータス列を「承認済」「却下」に変更

ステップ⑤:(任意)申請者に通知を送信

  • 「メールを送信」や「Teamsメッセージを投稿」アクションを追加し、結果を申請者に知らせる

これで簡易承認フローは完成です!一度作成すれば、何件申請が来ても自動で処理されるので、管理者や承認者の負担が大幅に減ります。