この記事では、DAX(Data Analysis Expressions)の基礎と初心者向けの主要関数について解説しています。

  • DAXとは: DAXは、Power BIでデータを計算するための式を記述する言語で、Excelの関数に似ています。
  • DAXの基礎概念: DAXの基本要素としてカラム(列)とメジャー(測定値)があり、コンテキストという計算対象データを決定する条件も重要です。
  • 初心者向けのDAX関数: SUM、AVERAGE、IF、CALCULATE関数などの基本的なDAX関数の使い方について説明しています。
  • 実践:カスタムメジャーの作成: Power BI Desktopを使ってカスタムメジャーを作成し、グラフに追加する手順が示されています。

DAXとは?

DAX(Data Analysis Expressions)は、Power BIでデータを計算するための式(関数)を記述する言語です。DAXを使うことで、データモデルに基づいたカスタムの計算や集計を作成し、より高度な分析を行うことができます。たとえば、売上データから「総売上」や「平均売上」を計算したり、「特定の条件に基づいたデータのみを表示する」などの分析が可能です。

DAXの特徴は、Excelの関数に似ている点です。Excelに慣れている方なら、DAXもすぐに使いこなせるようになるでしょう。本記事では、DAXの基礎と初心者向けの主要関数について学びます。

DAXの基礎概念

1. カラムとメジャー

DAXを使用するときには、以下の2つの要素を理解しておくことが重要です。

  • カラム(列)
    DAXを使ってテーブルに新しい列を追加します。たとえば、売上金額に税率を掛けた「税込売上金額」という列を作成できます。
  • メジャー(測定値)
    DAXを使って計算式を作り、集計値を計算します。たとえば、全体の「売上合計」や「平均売上」を求める場合に使用します。

カラムはテーブル全体に対する計算、メジャーは特定のフィルター条件に応じた計算を行う点が異なります。

2. コンテキスト

DAXの計算では、「コンテキスト」と呼ばれる条件が重要です。これは、計算を行う際にどのデータを対象とするかを決定するルールのことです。たとえば、ある地域の売上だけを合計する場合、その地域が「フィルターコンテキスト」となります。

初心者向けのDAX関数

1. SUM関数

SUM関数は、特定の列の数値を合計する際に使用します。

  • 構文: SUM(列名)
  • : 売上金額の合計を計算する場合
TotalSales = SUM(Sales[SalesAmount])

2. AVERAGE関数

AVERAGE関数は、特定の列の平均値を計算します。

  • 構文: AVERAGE(列名)
  • : 平均売上を計算する場合
AverageSales = AVERAGE(Sales[SalesAmount])

3. IF関数

IF関数は、条件に基づいて異なる値を返すときに使用します。

  • 構文: IF(条件, 真の場合の値, 偽の場合の値)
  • : 売上金額が100万円以上の場合は「High」、それ以外は「Low」と表示する場合
SalesCategory = IF(Sales[SalesAmount] >= 1000000, "High", "Low")

4. CALCULATE関数

CALCULATE関数は、特定の条件を適用した計算を行います。

  • 構文: CALCULATE(式, フィルター条件)
  • : 特定の地域だけの売上合計を計算する場合
RegionalSales = CALCULATE(SUM(Sales[SalesAmount]), Sales[Region] = "Tokyo")

実践:カスタムメジャーの作成

以下の手順で、DAXを使ったカスタムメジャーを作成してみましょう。

  1. Power BI Desktopでデータを準備する

    データをインポートし、モデルビューでテーブルを確認します。

  2. カスタムメジャーを追加する

    「フィールド」ペインで右クリックし、「新しいメジャー」を選択します。ここでDAX式を入力できます。

  3. メジャーをグラフに追加する

    作成したメジャーをグラフにドラッグ&ドロップして、計算結果を視覚化します。

    例: 総売上と平均売上を表示するグラフ

    以下のDAX式をそれぞれ追加します。

    TotalSales = SUM(Sales[SalesAmount])
    AverageSales = AVERAGE(Sales[SalesAmount])

    これらを棒グラフやカードビジュアルに追加すると、売上の合計と平均が一目でわかるグラフが完成します。

DAXを使うと何ができるのか?

DAXを活用すると、以下のような高度なデータ分析が可能になります:

  1. 条件付きの計算
    特定の条件に基づいてデータを集計できます。たとえば、期間限定の売上や特定地域のデータだけを分析する場合に便利です。
  2. リアルタイムのフィルタリング
    ダッシュボードでフィルターを適用した際に、動的に計算結果を変更できます。
  3. 複雑な分析の自動化
    DAXで計算式を設定しておけば、データが更新されるたびに自動で計算結果も更新されます。これにより、効率的かつ正確な分析が可能になります。

この記事では、DAXの基本概念と主要な関数を学びました。DAXを使いこなすことで、データ分析の幅が大きく広がります。次は、より複雑な計算や、タイムインテリジェンス(時間に基づいた分析)を学び、さらに高度な分析スキルを身につけていきましょう。